還元率は何パーセントあればいい?②見極めるポイントを解説【高還元SES】

前回は結論をサクッと書きました。今回は少し詳細を見ていきましょう。

還元率の内訳を把握しよう!

交通費や会社負担分の社会保険料など、給与以外の経費を含めた還元率を掲げる高還元SESが非常に多いです。

特に多いのが社会保険料です。これを含めると還元率は+10%となるので還元率の低い企業はこぞって含めます。

まずはその会社が還元率をどう定義しているか確認します。

還元率は給与のみの割合であること

”単価×還元率=給与”であることをまず確認しましょう。この式の通りなら会社ホームページにたいてい給与テーブルを公開しています。隠す必要がないので。

大事なのはちゃんと計算してみること。給与テーブルにある数字で計算してみると還元率と一致しない...
こんな場合は還元率を水増ししているということです。

還元率で嘘をつく企業は入社後の対応も嘘やごまかしが蔓延している

還元率という給与にかかわる大事なことで嘘をついているということは、ほかの待遇でも嘘をついている可能性があります。
ほかの条件も”これは本当なのか?”とあれやこれや考えるだけ時間の無駄なので還元率をごまかしている企業はまず転職候補から除外します。

私が見た中でやばい企業のブログ記事

SESの還元率は50~60%。還元率が70%を超えると高還元。弊社は還元率70%と高還元です

これを見るとこの会社は平均以上の還元率をだしているように見えますが、これ実は前半と後半で還元率の定義が違います。
前半は給与のみの割合なのに対し、後半は給与+社保の割合を示しています。つまりこの会社の還元率は60%で高還元ではありません。自社を高還元に見せるためにこういったことをするわけです。

高還元でもないのに高還元でアピールすると帳尻合わせにほかのことでも嘘をつくことになります。だんだんとウソに慣れてきてエンジニアの対応も嘘やごまかしで対応してきます。それにより社員は会社への不満感が募ります。こんなことで疲弊するのは非常に馬鹿らしいです。なので初めから回避することが大事です。高還元SESなんてたくさんあるしね!

平均を知ろう!

SES企業の還元率に公開義務はないので業界平均を知るすべはありませんが、派遣は法律によりマージン率の公開が義務付けられています。

高還元SESは多くが案件選択を導入しており働き方は派遣です。参考としてかなり有効です。

ここでの還元率は給与のみの割合です

派遣の平均

派遣の平均は以下から確認できます。
令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199493_00017.html

1日1か月年収
派遣料金32,897657,940
賃金20,067401,3404,816,080
還元率
(100-(賃金/派遣料金))
61.0%
[東京] 情報処理・通信技術者 無期雇用派遣の派遣料金、賃金
1か月の派遣料金、賃金=1日の派遣料金、賃金×20日
年収=1か月の賃金×12か月

どうでしょう?意外とそこまで低くないという印象です。業界別の賃金でも80のうち5位と上のほうに位置しています。

高還元SESはこれより上を目指していくということになります。

単価

単価が平均以上あることは必須条件

単価連動の高還元SESでは単価の高さは収入に直結します。平均単価が高いということはそれだけ単価の高い案件に入れる可能性が高いということになります。

この単価差はエンジニアのスキルの差というよりも営業力の違いが大きいです。

高還元SESは基本的に経験者採用。ということは普通に営業すれば派遣平均より高い単価になります。にもかかわらず派遣平均を下回る単価の高還元SESが結構あります。

原因は仲介にあります。SES(準委任)は仲介会社を利用できます。自社で営業せず仲介会社に頼ると仲介手数料をとられ単価が減ります。平均で単価の5~10%が仲介手数料として取られます。この差が平均単価に影響を与えます。

派遣平均は66万ですので、平均単価が62万前後である高還元SESは仲介だよりで営業が弱い可能性が高いということになります。

会社(営業)は案件を探す、エンジニアは現場仕事にまじめに取り組む。この関係性が大事です。会社が営業に力を入れていないせいで収入が下がるというのは避けるべきです。

派遣の平均単価を超えていれば、ひとまずは安心できると思います。

単価は安いけど還元率が高い会社はNG

“単価は安いけど還元率が高いので年収が高くなる”
短期的にはいいですが、長期目線で考えるとこれは望ましくない状態です。年収の頭打ちがはやく来ると思います。

この系統の会社は採用をどんどんして利益を上げるタイプです。仲介会社をフル活用して案件は多数あるが単価の伸びはいまいち。

単価交渉ももちろんするけど、現場でのエンジニアの頑張り次第というスタンスです。そもそもベースの単価が手数料で減っているのでまずはこれを仲介なしの単価にもっていくことになります。無駄な単価交渉からのスタートとなります。

還元率

還元率は高ければ高いほどいい

還元率が低いことのメリットは給与以外の待遇が良くなる場合があることです。例えば待機期間の給与が満額支給などがあげられます。

しかしながら基本的に”稼働期間>>>待機期間”なので、たとえ待機期間の給料が減るタイプでもトータルで見ると還元率が高いほうがそれだけリターンも多くなります。

単価60万で23カ月稼働、1か月待機となった場合
 A.還元率70%、待機期間は給与20万
  42×23+20=986万
 B.還元率65%、待機期間も同額支給
  42×24=936万
待機が発生してもAのほうが50万収入が高いです。
AがBを下回るには2年間の内3か月待機になる必要があり、これだけ待機になるとそもそも高還元SESに向かない

まとめ

実のところ最初に見るべきは単価です。ここが低いと話にならない。

高還元SESはエンジニアの単価を上げるより採用を増やしたほうが利益が高くなります。営業に力を入れるより採用に力を入れたほうが儲かるわけです。

エンジニアは給料上げたい。そこで会社がどう動いているかがポイントとなります。エンジニアのため自社でしっかり営業するとそれだけ単価は上がり派遣平均に近い金額になります。逆に会社の儲けを優先すると案件は仲介会社に頼って、その分のリソースを採用にかけます。結果単価が低い傾向になります。単価の高さを見ることは会社の姿勢を見るうえで有効な1つの目安になると思います。

派遣の平均以上の単価であること。そのうえで還元率の高い企業を選ぶのがいいでしょう。

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