下限保証額を公表している高還元SESがありますが、どうにも高すぎる。
一般的なSESに比べ20倍近く支出している企業もあります。どう考えても高すぎる金額なのでその内訳を考察していきたいと思います。
下限保証については下記記事を見てください
1人当たりの下限保証時間をもとめる
下限保証額から1人当たりの下限保証が行われた時間を求めます。
A社 下限保証額 年間2700万円
社員数400人で年間に2700万円下限保証として支出しています。
この会社の下限保証の対象となった時間は一人当たり年間30時間となります。
①1人当たりの年間下限保証額を求める
下限保証額÷社員数
=2700÷400
=6.75万
②下限保証と対象となった時間を求める(1日当たりの賃金平均は1.8万円)
1人当たりの年間下限保証額÷1日当たりの賃金×8.0h
=6.75÷1.8×8=30h
B社 還元率の2%に相当
下限保証額が還元率の2%相当にあたると表現している会社です。
この会社の下限保証の対象となった時間は一人当たり年間38.4時間となります。
①1人当たりの年間下限保証額を求める(単価60万で計算)
単価×下限保証の割合×12か月
=60×0.02×12
=14.4万
②下限保証と対象となった時間を求める(1時間当たりの派遣料金は60万÷160h=3750円)
1人当たりの年間下限保証額÷1.0hあたりの派遣料金
=14.4÷0.375
=38.4h
考察
どちらの会社も下限保証時間は30時間超となりました。
上の表は営業日と下限幅、そして下限保証対象となる時間を表したものです。下限保証対象が30時間となるものは精算幅の下限が160hのときです。
A社、B社ともに30h↑なので単純に考えると全社員が精算幅160h~で働いていることになります。
精算幅の下限160hってどうなの?と質問されたら、私は”高い!!”と応えるでしょう。
下限が160hだと毎月20日休みなく働き、さらに下限をクリアするため残業する月も2022年だと3か月あります。働くのは人間ですので体調不良などの不測の事態もあります。今は有給取得義務が年間5日間あります。160hをクリアするにはそれなりの残業が必要になってきます。
精算幅140h、150hで働いたとき下限保証対象はそれぞれ0h、6hです。140hが大半だと思うので年間平均下限保証時間は一人当たり1hくらいになると思います。金額でいうと2,500円です(平均単価60万のとき)
A社は一人当たりの下限保証額が6.75万円なので
6.75÷0.25=27倍
一般的なSESに比べ27倍もの保証を行っていることになります。
下限保証額に有給休暇分が含まれている?
計算上この2社は精算幅の下限が平均160hとなります。160h以上で契約している人もかなりの数いるということになりますが、まずありえないです。
となると下限保証額には営業日が少なくて下限を下回った時の保証以外の金額が含まれているということになります。
おそらく有給休暇等の休暇分が含んでいると思われます。その理由が“下限保証があるから安心して有給休暇が取得できる”と発言している点です。
有給休暇の費用に関してはSESに限らずどの業種でも会社負担であることが法律によって定められています。つまり下限保証があろうがなかろうが補填するのが普通です。
どの会社も補填している有給休暇費用を下限保証として取り扱っている可能性があります。
まとめ
下限保証額から下限時間を求めてみました。そこから導かれる可能性は2つ
①精算幅の下限平均が本当に160hである
②下限保証に有給取得費用を加算している
①精算幅の下限平均が本当に160hである
この会社のエンジニアのほとんどがマジで精算幅160h~で契約しているという可能性。通常はあり得ませんが本当に下限160hで契約していないとも言い切れません。その結果が高い下限保証額であるという可能性です。
この場合の下限保証の高さはプラスでなくマイナスです。それだけ不利な契約をしないといけない立場である。もしくは営業に力を入れていないということになります。
あまりにも高すぎる下限に不満が出ないように下限保証を導入しているということなのかもしれません。本末転倒な気がしますが...
②下限保証に有給取得費用を加算している
上にも書いた通りまともな精算幅で働いたとき純粋な下限保証対象は一人当たり年間2,500円程度になります(平均単価60万の場合)。
これに当てはめるとA社の場合純粋な下限保証額が100万、有給休暇費用が2,600万になります。つまり下限保証とうたっている費用のほとんどが実は有給取得費用となります。
有給休暇はSESに限らずすべての会社で会社負担です。下限保証というとその会社独自の制度でその費用のみを表しているという印象ですが、実は有給休暇の取得費用も含めているとなると誤解を与えかねません。有給休暇は有給休暇です。下限保証に含めるのはふさわしくありません。
下限保証は避けるのがベスト
正解は聞いてみないとわかりませんが、①②どちらかであれば下限保証をアピールしている会社は避けるべきです。理由は
・下限が160h~で働かされる
・水増ししていて信用ができない
どちらにしてもまともでないのでとりあえず転職候補の優先順位は下げていいと思います。
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