高還元SESで働いていましたが、1年あまりでリツアンSTCへ転職しました。
リツアンSTCも高還元SESと同様単価で給与が決まる会社です。なぜ同じような会社に短期間で転職至ったのか?リツアンSTCの何が良くって、高還元SESの何がダメだったのか?その理由を上げていきたいと思います。
※高還元SESは前職の高還元SESをもとに記載しています
派遣会社である
転職を決めた一番の理由はリツアンSTCは派遣会社であるということです。
ときどきSES=正社員、派遣=非正規と勘違いしている人がいますが誤った知識です。派遣会社が正社員として雇用して企業に派遣する場合は「常用型派遣」と呼ばれます。メイテックやテクノプロなど大手派遣会社はこれですね。一方SESは派遣許可を持たず派遣ができない会社が名乗る場合が多いです(創業時は派遣許可持たず、のちのち派遣許可をとる場合もあります)。この派遣許可の所持が重要なポイントです。派遣会社では当たり前に行われていることが高還元SESではなかったり勤めている中でデメリットの大きさを感じました。それが派遣会社であるリツアンを選んだ大きな理由です。
自社で営業している
派遣会社、つまり自社で営業して案件を獲得し自社のエンジニアを発注元(派遣先)に派遣します。発注元とは基本は派遣契約を結びます。
一方高還元SESは仲介会社を通して準委任契約を結ぶケースが多々あります。高還元SESが仲介会社を使うということはエンジニアの給料を犠牲にしているということです。単価連動なので仲介会社に支払う手数料だけ給料が実質下がっていることになります。逆に会社側は営業コストをほとんどかけずに単価の30~40%を受け取るわけですからかなり費用対効果が高くなります。
「仲介案件でも高い案件はある」と主張する高還元SESもいますが、手数料を取られていることには変わりません。
高い単価であれば高い手数料をとられていて、低い単価であれば低い単価がさらに低くなっているということです。その原因は自社が営業に力を入れていないから。これで成果に応じた評価といわれても納得感はありません。
SESもやっていることが派遣業であれば自社で全社員の案件をまかなえることはマストの条件です。会社は自社で案件を獲得し、エンジニアはしっかり仕事に取り組む。この関係性が大事です。派遣会社を名乗るということは営業体制がしっかりしている表れといえるでしょう。
[仲介会社をつかうメリット・デメリット]
メリット | デメリット | |
---|---|---|
会社 | ・案件が簡単にたくさんあつまる ・営業コストがさげられる | ・利益が少し減る |
エンジニア | ・たくさんの案件から選べる | ・単価が下がる(=給料が下がる) |
高還元SESの案件はどこも一緒
高還元SESは案件はほぼ100%仲介をはさんでいました。複数の仲介会社と取引して豊富な案件を抱えるわけです。案件は外部に頼り採用に注力する戦略をとる会社も少なくありません。
当然ですがほかの高還元SESも仲介を使います。仲介会社にとっては案件を受ける下部の会社がいくらいても困りません。大手や地場、主要な仲介会社はどこの高還元SESも取引することになるのでおのずと案件も被ります。そして単価もだいたい同じ相場に落ち着きます。
偽装請負がない
偽装請負は単純にコンプライアンスの問題、そして待機リスクの問題があります。偽装請負で待機にでもなろうものなら最悪です。単価連動で働くエンジニアにとって待機によって給料が減るわけですから。
そしてこの偽装請負の問題がつきまとうのがSES業界です。高還元SESも例外ではありません。
というより高還元SESは偽装請負多いんじゃないかなと個人的には思っています。前職の高還元SESがそうでしたので。
なぜ高還元SESに偽装請負が多いと思うかというと、高還元SESの掲げる高還元と案件選択制度が理由です。
案件選択制度を実現するためには案件が豊富にないといけません。そこで高還元SESは複数の仲介会社(パートナー企業)と取引し案件を紹介してもらいます。たくさんの案件を集めれる代わりに基本的に単価は相手の言い値かつ準委任契約しか結べなくなります。これが偽装請負の温床となります。
常駐先の社員から作業指示を受けると偽装請負になるので、準委任契約を結んだときSES会社は作業者とは別に責任者を任命する必要があります。発注元の提示している単価が1人分に対しSES会社は2人分の人件費がかかります。責任者は兼任ができるのでもう少し人件費を抑えることは可能ですが、それでもかなりコストがかかることがわかると思います。
で、どうするかというと前職の高還元SESでは責任者を置きませんでした。常駐先の社員の指示のもと作業させます。準委任にもかかわらず派遣の働き方です。つまりは偽装請負ですね。
一方、派遣契約は派遣先の社員から指示を受けてもOKです。リツアンでは偽装請負のリスクがないため安心して働くことができると考えました。
単価が高い
派遣の単価が高いというのは正確でなく、SESの単価が派遣に比べ安くなる可能性があるというのが正しいです。
派遣契約を結ぶには派遣先と自社が直接契約を結ぶ必要があります。SESのように間に仲介を挟むことはできません。仲介を挟まないので無駄な仲介料で単価が下がらない。高還元SESでは仲介料の分だけ減っていた給料が、リツアンでは確実にあがるということです。
還元率が業界トップ
高還元SESでは還元率60%でしたが、リツアンの還元率は68%。前項に書いたように自社での営業することで単価が高く、還元率も高い。より高い給与を望めると思いました。
高還元を掲げるSES、派遣業界でリツアンは還元率No.1だと思います。どの業界でもそうですがNo.1企業に勤めるとメリットを享受しやすいことが考えられます。
還元率がどこよりも高いということは社員は同業他社に比べ給与が高くなりやすい。給与が高いことで人が集まる。人が集まれば仕事(案件)が増える。採用や営業で優位に立てることができます。
還元率は高いほどいい
高還元SESのほとんどが単価連動です。単価連動で大切な要素が単価と還元率です。定期昇給はなくなるので収入を上げるには単価が上がるが還元率が上がるかになります。”スキルがあげればそれだけ収入が上がります”、なんて高還元SESは宣伝していますがスキルアップで上がるのは単価の上限です。プログラマの単価上限が60万、基本設計ができるようになれば上限が80万になるといった感じです。でも基本設計ができるからといって基本設計のできる案件に入れるというわけではないので、あくまでスキルが高ければ単価が高くなるかもしれない、ということです。単価が上がるには運の要素も必要になってきます。
単価が運の要素に左右されるのに対し還元率は会社との取り決めで、不況など緊急事態を除けば基本下がることはありません。つまり還元率が高ければそれだけ希望年収に届きやすいということになります。当然単価が想定以上になれば年収もはるかに高くになります。
還元率が低くても単価が高ければ還元率が高い企業より高い収入が得られるという高還元SESがいますが、リツアンはプロ契になると還元率は80%以上!他の高還元SESは高くても70%なのでこの差を埋めるには6~10万は単価が高くなければいけません。同じ年代、分野、スキルで単価にこれだけ差をつけて受注できる可能性はかなり低いです。
還元率が高いほうが収入が高くなりやすいのは間違いないです。
不景気に備えられる
還元率が高いと不景気になった時にくびを切られる、大幅な減給になる...なんて主張があります。還元率の低い高還元SESは還元率が低い分その下がった分を不景気対策として蓄え、いざ不景気になればその費用をもって雇用・賃金を維持します、ということらしいです。
でもその約束は必ず守られるのでしょうか?雇用契約書や就業規則に記載ありますか?おそらくそんなことは記載ないでしょう。還元率が高かろうが低かろうがくびを切られるときは切られるということです。不景気になった時に一番信用できるのは自分自身です。還元率が高ければそれだけ貯蓄に回せるお金も増え不景気に備えることができます。
過去を見ると10年サイクルで不景気はくるそうです。リツアンは単価60万でプロ契(還元率約80%)だと年収560万。高還元SESの還元率は大体65%、そのうち10%は賞与に割り振られているようです。単価60万で年収468万になります。年間で収入に100万、10年でおよそ1000万の差ができます。リツアンであれば不景気でくびをきられてもその間に結構な貯蓄ができているのではないでしょうか。そして収入が高ければ失業手当も高くなります。
一方還元率の低い高還元SESは不景気で待機になっても雇用・賃金は維持されます。ただし賞与はなくなるので年収は396万ほどになります。また単価連動なので翌年は減給の可能性もあります。そして雇用維持は100%ではありません。くびを切られる可能性もあります。やはりこちらも失業手当を受けることになりますが雇用維持を理由に還元率を下げていたことで月給は抑えられていました。失業手当は月給から算出しますのでもらえる手当は低くなります。
個人が行える不景気対策は自分で蓄えることです。会社はいざとなったらくびを切ります。雇用を下手に維持してもらうより還元率を上げて個人で備えるほうがいいと個人的に考えています。それには高い還元率というのは理にかなっています。
在籍年数で還元率アップ
リツアンでは在籍年数でマージン率が低くなります(=還元率が上がる)。リーダーなど役職に就くと還元率アップなんかは高還元SESでは見られますが、在籍年数で還元率が上がる制度は意外とほかの高還元SESでは見られません。それだけやばい制度だということです。
SESや派遣は年齢が上がると参画しづらくなると言われています。そうなると単価を下げるなど対応が必要になってきますが、在籍年数でマージンが低くなるため単価が下がっても給料はある程度の水準で維持できることが可能です。長く安心して働けるところも魅力でした。
待機中の給料は会社負担
以前の高還元SESは待機中の給与100%保証がうたい文句だったが、実態は会社負担は0。月給は支払われるが賞与で調整するものだった。正確には全く0ではないが待機をだいたい2か月すると以降は会社負担になるという仕組み。2か月程度は毎月積み立てていた賞与積立金から待機中の月給+会社負担の社保を賄うというものだった。この賞与から補填するやり方を取り入れている高還元SESは結構あるが、これだと待機中の費用は自分で支払っているのと変わらずリスクはフリーランスと変わらない。会社勤めの意味はなく、それなら会社にマージン無駄に取られるよりフリーランスになったほうがいい。
リツアンは減少こそあるが会社負担。
マージン0%がやばい
リツアンでは10年勤務でマージン0%という制度があります。
クライアントへエンジニアを紹介しただけで、派遣会社はその後も継続して同率のマージンを貰い続けててもいいものなのか?派遣会社の最初の1回の紹介が、そこまで価値あるものなのか?
エンジニア側の立場でいえばこの気持ち十分わかりますが、経営者側がこれに疑問を感じ、10年勤務という縛りはありますが会社利益を0円にするというのは並大抵の覚悟ではできません。
「エンジニアための会社を作りました」といいいながら、還元率水増ししていたり、役員報酬だけ上げ続けたり、高い家賃払って一等地にオフィス構えたりする高還元SESとは一線を画しているように感じました。
この制度、いいか悪いかは別にしてエンジニアの給与は上がります。会社に対する貢献度とか意味の分からない基準でなく、エンジニア全員に一律に権利があるのがやばい。語彙力も下がります。こんなぶっ飛んだ制度ほかの高還元SESでは今後も出てこないでしょう。
そんなに還元して経営が傾かないか心配?傾きそうになったらこんな制度やめればいいんです。そもそもおかしい制度なんだから。
オフィス家賃が安い
高還元SESの姿勢がよくわかるのがオフィスだと思います。
野心を持った経営者というものは都心の一等地にオフィスを構えたがります。「オフィスは会社の顔だから立派なことは求職者に安心を与える」と、言うわりには本社のみ金かけて地方はレンタルオフィスやアパートの一室だったりする場合もあります。ただただ経営者が立派なオフィスで働きたいだけに感じる高還元SESもあります。
家賃は一番経費削減できる部分です。
・エンジニアの多くは常駐先で働くためオフィスは利用しない
・家賃が高ければそれだけ還元できない
「エンジニアのための」高還元SESはまず固定費の代表格であるオフィス家賃を抑えることを考えるわけです。そうなると高還元SESのオフィスはほどほどのオフィスに落ち着くはずです(オフィスで働く内勤の人の環境も大事だから格安もダメ)。
リツアンは心配になるくらい家賃が安い。もっとお金かけてもいいと思えるぐらい家賃が安い。前職の高還元SESの反動もありかなり転職ポイントとして高かったです。
福利厚生がない
余計な福利厚生がない。通勤手当はありますが住宅手当や資格手当など他所で見かける福利厚生がない。すべて給与に突っ込んでいる点が◎。
福利厚生の原資はエンジニアが稼いだ売上からです。福利厚生を手厚くすればそれだけ給料は抑えられることになります。単価連動=歩合制はめんどくさいことせず給与に全力で割り振るのが結局は一番いいです。資格とりたければ上がった給料で賄えばいいし、上がった給料で好きなところに住めばいいんです。
全国採用
関西→九州への転職でもともと高還元SESとリツアンが転職候補としてありました。ただリツアンは最初全国採用とは思っていなくて福岡にオフィスのある高還元SESに転職しました。でもすぐにここはダメだと思って改めてリツアンの求人票見ていたら全国採用でした。今は沖縄にもオフィスがあります。
地方でもとりあえず連絡してみることをお勧めします。
まとめ。リツアンに転職してどうだった?
給料面の満足度はかなり高いです。あえてデメリットを書くなら給与が働く時間に連動するため長期休暇は取りにくい点でしょうか。これはどこの高還元SESでも同じですし、高い給料でカバーできるので考え方次第だと思います。
前職の高還元SESは人には絶対おすすめなんかできませんが、リツアンはおすすめできる会社です。
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