還元率水増しの歴史【高還元SES】

第1世代 比較的まとも世代

2016年以前
還元率=給与×還元率で表記している企業が多かった世代。たまに交通費を含むところもあったが、還元率=給与と考えて問題なかった。

単価連動SES自体がそんなに多くなかった時代。大手求人サイトに掲載せず細々とやっていたところも多かった印象。

第2世代 水増し世代

2016年くらいから還元率に会社負担分の社会保険料を含めたものを還元率として表記するような企業がでてきた。

IT派遣平均が還元率60%。エンジニアにお金は出したくないが人はたくさん採用したい。そのためには他社より多く給料をだしているように見せたいという企業が社会保険料10%を加えて”還元率70%とうたい始めた。

従来のSESで多かった年功序列から成果主義に変わるので、全体の還元率は従来の派遣と変わらないが、ターゲット層である20~30代の給与はそれなりに上がる。還元率が嘘と分かっても”給与上がったしまだ働くか”、”また転職するのは面倒”など考える人も少なくなく社員数を順調に伸ばす企業も現れた。

第3世代 後追い世代

2020年くらいから爆発的に増えた高還元SES。

還元率は平均的なのに水増しするだけに社員を増やした第2世代の成功を見て、既存企業が高還元SES事業に乗り出したり、新興企業が始めたりと求人サイトに「高還元」「還元率○○%」という文字があふれてきた。

実際の給与割合は第2世代と同じ60%程度のところが多かったように思う。ただし還元率には社会保険料に加え有給費用なども加え70%や80%の企業も増えてきた。第2世代に対抗するためにさらに水増しが加速してきた。

悲しいことに、もともと還元率=給与だった高還元SESもこのあたりで社会保険料を含めた表記に切り替えてきた。

”悪貨は良貨を駆逐する”
還元率を水増ししているかどうかは求職者からは判断が難しく、結果的に水増しがスタンダードになってしまった。

第4世代 全部乗せ世代

2023年から増えてきた高還元SESのかたち。これ以前にもぽつぽついたが今はこの全部乗せが主流。

既存の高還元SESが他の高還元SESに対してアドバンテージをとるために給与の割合を上げ、そのうえで社会保険料等で還元率を水増しするようになった。

それに対抗するように新興の高還元SESでも最初から給与のみの還元率を65-70%にしているところもでてきた(ここに社保分を含めて還元率80%↑と掲示)。

第2世代の言い分では業務効率化でコストを削減して高還元にしたと主張していたが実際は還元率は高くなかったので余力はある理屈になる。その余力を使って最初からしっかり高還元にしてきた。

今後の見通し

売上に対して還元率という割合で給料を支払うため赤字になりにくく、創業時の資金もそれほど多く必要がない。また仲介業者を利用することで創業開始時から案件不足を気にせずに人をガンガン採用ができる。倒産リスク、参入障壁が低いため今後も新興の高還元SESは出てくるように思える。

新興なのに高い還元率を実現しているというなんとなくすごそうという理由で転職するひともいるだろう(仕組みを理解していれば避けるべきと思うけど…)。

ただやっぱり今社員数を伸ばしている企業がさらに伸ばしていくんじゃないかなと思う。先行者利益はあらゆる面で強い。

人がいればそれだけ利益も多く、新興の高還元SESが還元率を高くしても対抗できる。商流に関しても最初は仲介を介してがメインだったのが徐々に直接取引が増加していくので長く操業しているほうが割合よくなる。後発の高還元SESに転職するメリットってないに等しいと思う。

還元率に関してもある程度頭打ちになってきていると思うし、古株の高還元SESがのびていくんじゃないかな。

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