高還元SESにおける、いる福利厚生、いらない福利厚生

還元率は高いけど福利厚生のない会社と、還元率は少し低いけど福利厚生が充実している会社どちらがいいのだろうと悩んでいますか?

高還元SESに勤めていた中で感じた、あったほうがいい福利厚生、いらない福利厚生を紹介したいと思います。

 

いる福利厚生

通勤手当

メリット
・通勤費が減る(無くなる)
・控除対象

特にデメリットがなく、あればうれしい福利厚生です。

後述するように一部の高還元SESは実質自腹になるような仕組みにしている会社もあります。年間となると通勤費もばかにならないので支給されるかしっかり確認が必要です。

派遣先への移動は必要経費

通常なら自宅→所属会社に通勤するわけですが、SESは派遣先へ通勤します。

派遣先は数カ月~数年で変わります。となると必ずどこかで通勤費が発生します。

通勤手当というと一般的な企業では金銭的な負担を補助する役割で導入されますが、SESのような派遣先へ移動の場合経費という側面が強いと考えています。

営業が訪問先企業に移動する際自腹ということはほとんどないと思います。これと一緒ですね。

福利厚生に通勤手当があることはマストな条件だと考えます。

平等な評価にするために必要

高還元SESは単価=評価と考えています。もし通勤手当が支給されない場合同じ単価、同じ仕事をしていても、通勤費がかかる人は通勤費がかからない人より評価が低いということになります。

”平等な評価を!”と掲げている高還元SESの理念とマッチしなくなります。

賞与で減額する会社に注意

高還元SESの中には毎月通勤手当支給するが、その分賞与から減額する会社があります。私が以前勤めていた高還元SESはこのタイプでした。

「交通費0円ならその分給与が上がる!」という人が時々いますが、ただ通勤手当の分だけ損しているだけです。

経理や営業など客先常駐しない人は通勤手当で手取りは変わりませんよね?

福利厚生であるなら派遣エンジニアも手取りが変わらない制度であるべきです。

ちゃんと福利厚生になっている会社を選びましょう。

 

企業型確定拠出年金

企業型DCとも呼ばれる年金資産運用制度です。

メリット
 ・減税効果がある
デメリット
 ・掛金だけ収入が減る

確定拠出年金にもいろいろタイプがありますが

会社が掛金を支払わない仕組みのほうがベストです。

会社負担はパフォーマンス

①会社が5,000円拠出。社員の拠出なし
②会社が社員に5,000円支給。社員が5,000円拠出

この場合税負担の軽減は同じ。

単価連動のSESであれば会社が掛け金を拠出するのは社員の選択の自由がなくなっただけになります。

会社が支払う掛金も元をたどればエンジニアの稼いだ単価です。

掛金を支払いたくない社員もいるでしょう。

会社が掛金負担せずその分を給与で支払い、いくら掛けるかは社員にまかせる。
掛けたい人は掛けて、そのほかのことに使いたい人は自分の懐に納める仕組みのほうがライフスタイルに合わして柔軟に対応可能です。

資格受験費用補助

受験費用の一部または全額負担してくれる制度です。

一部の人しか恩恵がないという考える人もいますが、権利は平等に付与されています。

個人的にはやる気のある人に補助するのは全然いいと思います。

還元率や会社の利益に影響するほどコストがかかることもないと思うので、あればうれしい福利厚生です。

いらない福利厚生

食事手当

高還元SESでの食事手当は、食事チケットという形で提供されることが多いと思います。
詳しくは下記を参照してください

食の福利厚生 - チケットレストラン | 株式会社エデンレッドジャパン
食の福利厚生「チケットレストラン」は、食事補助による福利厚生サービスです。全国25万店以上の飲食店やコンビニで利用することができ、毎日15万人が利用しています。

メリット
・得した気分になる
・控除対象

デメリット
・個人負担が発生する
・使える場所が限定される
・期限がある
・手数料がかかっている

控除対象

例えば家賃手当であれば支給額に税金がかかります。食事手当も通常なら会社が負担した分課税対象になりますが、

食事手当は条件を満たすと会社負担分が控除対象になります。

控除条件

・社員が食事の半分以上を負担する
・社員が負担した額が3,500円以下(+税金で3,780円以下)であること

食事手当を最大限活用した場合

社員負担3,780円+会社負担3,780円=最大7,560円分の食事チケット(=電子マネー)を受け取ります。

支給額の7,560円のうち会社負担分3,780円分に税金がかかりません。

例)年収500万円の時、所得税率は20.0%
3,780×0.2=756円
給与として支払われたらざっくり756円が所得税としてかかります。

負担額

こういったサービスを利用するときは当然ですが手数料がかかります。それが大体受け取り金額の10%程度です。

最大限活用する場合、手数料は7,560×0.10=756円

また営業、事務、社内エンジニアなど内勤の分も派遣エンジニアの単金から支出することになります。

社員400人のうち内勤が20人であれば派遣エンジニアは一人当たり約200円負担します。

合計のコストは
3,780+756+200=4,736円

派遣エンジニアは約5,000円負担して、3,780円分バックされていることになります。

現金でもらったほうが利便性◎

控除を受けずに食事手当として+5,000円が支払われる場合所得税約1,000円かかっても、
手取りが+4,000円となり食事チケットを受け取る場合とさほど変わりません。

ただこちらの場合現金なので
・どこでも使える
・なんにでも使える
・期限がない
と利便性は飛躍的に上がります。

給与としてもらうと社会保険料が上がる可能性はありますが、単価が上がった時も同じように上がります。上がるときは上がる、給与増による社会保険料アップはあまり気にすべきではないと考えています。

コストに見合わない

控除があって一見お得感がありますが、SESで控除を受けるには基本的に外部サービスを利用することになります。

当然手数料がかかるし、内勤分も負担も発生する。

手間とコストをかける割に、直接支給する場合とそれほど差はでず、導入メリットは少ないと考えています。

カタログギフト

年1回定期的に社員にカタログギフトを渡す場合、なんと税金がかかります。

現物支給扱いになり現金と同じように課税されます。

年収500万の人が、5,000円のカタログギフトを受け取ったとき

所得税20%=約1,000円税金が徴収されます。

3,000円相当の商品受け取るのに6,000円かけているということです。

ものすごくコスパは悪く、絶対いらない福利厚生の一つでしょう。

 

書籍購入費補助

購入のハードルが低い

資格補助と異なり、受験などはないので購入のハードルは低い。

利用する人はガンガン利用できます。

それゆえに利用する人に偏りが出てくるのがネックです。

書籍は貸与品

ほとんどの場合書籍の所有者は会社になります。

これは会社が書籍を社員に譲渡するとこれも現物支給扱いになり税金がかかります。これを回避するため会社が購入して社員に貸し出すという形をとります。

そのため退職時などに会社に返却の必要があります。

無駄が増える

重複して購入

SESは地方のオフィスを複数持っていることも多いです。

すでに購入済みの本を地方の人が欲しがる場合もあります。

この本を貸し出すのに郵送したり、営業が地方オフィスに行く際に届けたりするか?

答えは”No”です。

もう1つ同じ本を購入します。手間を考えると購入したほうが安上がりです。


再利用率の低さ

書籍は貸与品なので利用が終われば会社に返却します。

本はどんどん溜まりますが、これを借りる派遣エンジニアは少ないです。

派遣エンジニアは客先で働いているのでオフィスを訪ねることが少ない、そもそも地方で借りることが難しいなど利用率は低い傾向にあります。

 

書籍購入費補助はあってもいいけど個人的には書籍購入に予算確保するより給与を上げてそれぞれ技術書なんかを気軽に買えるようにするほうがいいかなと考えています。

学習支援

UdemyやProgateなどのオンライン学習サービスを会社で契約して社員は使いたい放題になる福利厚生ですね。

初級者やスキルチェンジを考えている人には有用ですが、実情9割は利用しない。1割利用するのでも多いくらい。

会社側もサービスが利用できることは伝えるが放置していることが多くちゃんと活用できているところは少ないです。

退職金

退職金は賃金の後払い

退職金のための原資は派遣エンジニアの売上から捻出するということになるかと思います。

単金から一部を退職金積立金に充て、退職時に払い戻す。

とどのつまり退職金は「賃金の後払い」の性格が強く、社員にとって給与が遅れて支払われるようなものと考えられます。
 

運用利回りは低い

中小企業退職金共済(中退共)などを利用すると補助金で退職金の増額がありますが、メインは運用利回りです。

ただ利回りを見ると中退金は企業DCに比べ低いようです。

中退共は利回り1.0%、企業DCの想定利回りの平均がおよそ2.0%と約2倍違います。

長期運用を考えたとき1.0%はとても大きいものとなります。

企業DC、ideco、NISA、昔と違い運用先はいろいろあり、またそれぞれ減税効果が見込まれます。

今のところ中退金などで運用するより企業DCなど個人運用のほうがメリットが大きいと考えています。

単価連動には不向き

単価×還元率=給与の高還元SESで、毎月一定額退職金を積み立てる場合を考えたとき、低単価の人のほうが総額の還元率が高くなります。

単価40万
 給与:28万、退職金積立金:1万 → 退職金を含めた還元率:72.5%
単価80万
 給与:56万、退職金積立金:1万 → 退職金を含めた還元率:71.25%

じゃあ単価が高い人の退職金が高くなるように制度設計しよう!とした場合、会社マージンを定額にしたような状態になります。

こうなるとわざわざ退職金を設けずとも、賞与で還元するなどの措置で十分になります。

退職金制度の導入目的は退職防止

それなのになんで退職金制度を設けるかというと長く働いて欲しいという思惑が少なからずあります。

SESは社員からマージンを取る商売です。長く勤めてもらうほうが会社は儲かります。

例えば”毎月1万円積立、支給要件に勤続3年未満には支払わない”といった条件があった場合、3年以内に転職すると少なからず損した気分になるでしょ?

退職防止策に一定の効果が見込まれます。

私自身は条件のいい会社があれば転職すべきという考えの人間なので、こういった引き留め策はデメリットに感じるため、退職金は不要と考えています。

 

まとめ

高還元SES=単価連動のSESで福利厚生は基本的に不要です。弱くていいのです。

なぜかって?

福利厚生に充てられる原資はエンジニアが稼いだ単価だからです。

単価連動なので福利厚生の比率が大きくなればその分給与は抑えられることになります。

また福利厚生の導入には余計なコストがかかるものもあります(上の例だと食事チケットがそれです)

高還元するために効率化、コスト削減を行ったのに福利厚生でコストをかけるのは主張がぶれます。

還元する余裕ができたら給与に全振りが単価連動における最も効率的な還元方法です。余計な福利厚生は不要です。

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