SESに関する誤解の中でも、とくに多く見られるのが 「契約形態ごとに請求方式が決まっている」 という思い込みです。
SNSではよく
- 「準委任=時間請求でしょ」
- 「請負は成果物請求じゃないと違法」
- 「派遣は時給制」
といった声を見かけますが、
これらはすべて 法律ではなく“商習慣のイメージ” による誤解です。
しかし、実際には 請求方式は契約の設計次第 であり、
準委任・請負・派遣のどれでも 幅広い精算モデル を選ぶことができます。
この記事では、
まず「精算方式の種類」をわかりやすく整理し、
次に「契約形態との相性」や「使われやすい理由」を説明していきます。
💡
7,000社以上あるSES企業の中で、
給与の仕組みを公開している数少ない会社
精算モデル(SESで使われる代表的な4つの方式)
まず全体像として、SESでよく使用される4つの精算方式を整理します。
精算幅精算
例:140〜180hで60万円
- 時間が範囲内 → 月額固定
- 下回り → 減額
- 超過 → 追加請求
- SESで最も一般的
実態を見ながら柔軟に運用できるため、
派遣・準委任のどちらでもよく使われます。
月額固定
稼働時間に関係なく、毎月同額を支払う方式。
- 精算幅がないため明瞭
- 管理がシンプル
“稼働時間の管理コストを小さくしたい” 場合に選ばれます。
成果完成型
成果物が完成したタイミングで支払う方式。
- 最も請負らしい精算方式
- 完成に対して報酬を支払う構造
- 中〜大規模の開発で使われやすい
契約当事者が「成果物」を基準に合意しやすいときに選ばれます。
履行割合型
プロジェクト進捗に応じて分割して支払う方式。
- 30%完了 → 30%支払い
- 80%完了 → 80%支払い
- 100% → 全額
長期案件や成果物が単純に一括で測れないときに使われます。
この精算方式はどの契約(準委任・請負・派遣)で使われる?
請求方式は「契約形態」とは独立しているため、
どの契約でも基本的には自由に選ぶことができます。
派遣
- 精算幅精算
- 時間ベース(労働時間の提供が前提)
準委任
- 精算幅精算(最も多い)
- 月額固定
- 成果物払い(法律上は可能)
- 履行割合型(稀だが可能)
請負
- 成果完成型(最も多い)
- 履行割合型
- 時間精算(可能だが注意が必要※後述)
契約形態の本質(準委任と請負の「責任範囲」の違い)
請求方式を理解するうえで重要なのは、
契約形態の違いは「請求方式」ではなく 責任範囲の違い だという点です。
準委任の責任範囲
準委任の責任は 業務を適切に遂行すること にあります。
- 成果物が完成しなくても違反ではない
- 善管注意義務を果たしていればOK
- プロセスが価値になる業務向き
準委任に向く業務例
- 調査・分析
- 運用・保守
- 上流工程の支援
- 要件が頻繁に変わる業務
- 労働量(作業時間)が価値になる業務
請負の責任範囲
請負の責任は 成果物の完成 にあります。
- 完成しなければ報酬請求できない
- 瑕疵があれば責任を負う
- ゴールが明確な業務向き
請負に向く業務例
- アプリ・システム開発
- Web制作
- ドキュメント納品
- 一式の開発案件
- 完成に価値がある業務全般
なぜ「準委任=時間精算」が多いのか
準委任 × 成果物払いは法律上可能ですが、実務ではあまり採用されません。
理由は、
「完成義務がない契約」と「成果物払い」は性質的に合わないからです。
準委任で時間精算が多い背景は以下の通り:
- プロセスや業務遂行そのものが価値
- 成果物が不確定で設計しづらい
- 要件・仕様が変わりやすい
- コスト見積もりがしやすい
- 双方のリスクが小さい
- エンジニアが常駐しやすく管理しやすい
結果として、
準委任=時間精算が“最も扱いやすい”
という構造が生まれています。
なぜ「請負=成果完成型」が多いのか
請負は成果物完成に責任を負う契約なので、
最も整合的な請求方式は 成果完成型 です。
これが選ばれやすい理由:
- 責任範囲と報酬方式が一致する
- 成果物基準で契約内容が明確
- 工程管理を請負側が主導できる
- 収益性・採算管理がしやすい
- 発注者にとっても分かりやすい(完成=支払う)
そのため実務でも、
請負=成果もしくは履行割合
という構造になっています。
請負で時間精算を使う場合の注意点(偽装請負のリスク)
請負 × 時間精算 は 合法 ですが、慎重に扱う必要があります。
理由は、
“時間に対価を払う”構造が労働力提供に見えやすい ためです。
特に以下がそろうと、偽装請負と判断されやすくなります。
- 客先が直接指示命令している
- 客先チームに組み込まれて作業している
- 工程管理が客先主導
- 成果物より時間が重視されている
- 常駐で働き方が派遣に近い
請負では、
- 完了条件
- 成果物範囲
- 指揮命令の所在
- 工程管理の主導権
を明確にして運用することが重要です。
まとめ
SESの請求方式で誤解されやすいポイントは次の通りです。
- 請求方式は契約形態ではなく“契約設計”で決まる
- 準委任と請負の違いは請求方式ではなく“責任範囲”
- 準委任はプロセスが価値 → 時間精算が使われやすい
- 請負は成果物がゴール → 成果完成型が使われやすい
- 請求方式はどの契約でも自由に設定可能
- 請負×時間精算は偽装請負リスクに注意
実務の現場では 「準委任=時間精算」 の理解で
ほとんど困りません。
SES業界では時間精算が一般的で、日々の運用は成立してしまいます。
ただ、今回説明した背景を理解しておくと、
- 契約の意図が読み取れるようになる
- 不利な精算方式を避けられる
- 偽装請負などの“落とし穴”に気づきやすくなる
- SNSの議論で何がズレているか判断できる
- 他社のビジネスモデルを分析しやすくなる
といった メリット があります。
つまり、
「知らなくても困らないけれど、知っていると役に立つ」かも...
という立ち位置です。
必要な部分だけ取り入れてもらえればいいかなと思います。
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