高還元SESの中にも上場を目指している企業があります。上場と聞くとイケてる会社のように聞こえますが実際どうなんだろうと思いませんか?
高還元SESが上場することでエンジニアの収入はあがる?待遇はどう変化するのか?上場企業と非上場企業ではどちらがいいのか調べてみました。
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7,000社以上あるSES企業の中で、
給与の仕組みを公開している数少ない会社
上場している高還元SES
上場している高還元SESは今のところありません。
まだまだ歴史の浅い企業形態なのでこれから上場する企業が現れるかもしれませんね!
上場の目的
1.資金調達力の強化
非上場企業では銀行から資金を借りることが多いですが上場することで企業は株式市場からも資金を調達することができます。
得た資金を採用に投資し既存事業のSESをさらに伸ばす。また自社サービスの開発やM&Aなどで別の事業への投資を行い事業を多角化し事業の安定性を高めることができます。
2.企業ブランドと信頼性の向上
上場することで知名度が向上し、大手企業との取引機会や高単価・長期案件の受注が増えることが期待できます。また採用市場での魅力が高まり優秀なエンジニアの獲得につながります。
上場によってエンジニアが得られるメリット
会社が上場することで働くエンジニアにどういった恩恵があるのでしょうか?
ストックオプションや持ち株による利益、配当
自社株の売買によって利益を得たり配当を受け取るなど本業のエンジニア以外での収入が望めます。また自身の頑張りにより会社の成長が株価として現れるので仕事へのモチベーションアップにつながります。
取引先の拡大
上場するには厳しい審査を通過することが必要で、また上場後も財務情報の公開義務などが発生します。それによって透明性が確保されるので取引先やこれから取引を行う企業にとって安心感を与える材料になります。
信用力が高まることで大手企業との取引開始により単価がアップしたり、就業先が増え待機なく安定した稼働が期待できます。
社会的信用が高まる
上場企業勤めということで従業員自体の信用があがります。住宅ローンなどの審査に通りやすくなる傾向にあるそうです。
上場によってエンジニアが受けるデメリット
上場と聞くといいことだらけに思えますが、逆に高還元SESだからこそ受けるデメリットを見てみましょう。
コストの増加
高還元SESは余計なコストを削減しその分をエンジニアの給与に充ててると説明している企業がほとんどです。コスト削減は高還元SESにとって最大の課題ということです。
対して上場となると上場するまで上場後で様々な手間と費用が掛かります。株主総会の準備、証券会社や監査法人への支払い、そして配当ですね。非上場時よりコストは増加します。
利益配分者が増える
上場し配当を配るとなると社員以外にも売り上げを分配することになります。高還元を実現するため事務などのバッグオフィスの人員を最小限に抑えていたのに外部に利益分配者が現れます。利益が減ってしまうので還元率を上げることが厳しくなります。
コンプライアンスによる柔軟性の低下
案件選択で一人常駐しているエンジニアが多いのが高還元SESです。一人常駐はかなりグレーゾーンの働き方で上場すればコンプライアンスの問題で原則できないようになるかもしれません。それこそ廃止になる可能性もあります。働き方の自由度は低下するかもしれません。
高還元SESと上場は相性が悪い
高還元SES(単価連動SES)はその独自の制度により上場と相性が悪いと考えています。
利益率がほぼ上がらない
還元率が65%、社保11%、通勤手当2%、その他手当や経費を合わせると、エンジニアにかかる経費はざっくり売上の80%程度になります。
バックオフィスの人件費や家賃、役員報酬などエンジニア以外の費用を10%に抑えたとして純利益は10%。さらにコスト削減に努めても13%程度がMAXになるんじゃないかと思います。ここから下がることはあっても上がることがないのが単価連動の弱点です。
待機が増えたりや採用広告に力を入れたりして費用が掛かれば当然利益は下がります。逆に単価連動のため売上に対するエンジニアの費用割合は常に一定で、バックオフィスの費用も削減するのにも限界があります。SES一本だと利益率の天井がある程度決まってしまいます。
還元率が高いために粗利率が小さい=利益以上のリターンは見込めないのでおのずと投資先としての魅力は下がります。
還元率を上げることが厳しくなる
株主と経営者の視点のズレ
経営者が「エンジニアの待遇改善のために還元率を上げたい」と考えても、株主は簡単には賛同しません。
なぜなら、株主は 利益を増やして株価を上げ、配当を得ること を目的としているからです。
一方で、還元率を上げればその分だけ会社の利益率は下がります。つまり、株主の期待とエンジニアの待遇改善は対立しやすいのです。
リツアンSTCの特例
リツアンSTCには「10年勤続でマージン0(実際には社保分で約10%)」という独自の制度があります。
もし同社が上場していれば、利益を重視する株主の反対でこうした制度は認められなかったはずです。
これは オーナー企業だからこそ実現できる仕組み といえます。
還元率と単価の違い
エンジニアの収入アップの要素は大きく2つあります。
- 単価を上げる
→ 取引先の予算や市場相場に左右されるため、簡単には実現できません。 - 還元率を上げる
→ 経営者の判断ひとつで「明日から」でも変更可能。
つまり、エンジニアにとっては還元率のほうが収入増加の即効性があるのです。
しかし、上場企業になれば「株主の利益を削ってまで還元率を上げる」ことは難しくなり、エンジニアにとって大きなデメリットとなります。
上場しなくても大手との取引は実現可能
上場によるメリットとして大手との取引での単価アップや、その他新規取引増加による稼働の安定化があります。でもこれって上場したからといって必ずしも実現できるものでもなく、また非上場でも実現不可能ということでもありません。
取引先の拡大を経営者の方はよく上場メリットとして挙げるけれど、新規案件の開拓は地道な営業と実績そして運が必要なもので上場は必須条件ではないということです。
持ち株のメリットはエンジニアには薄い
創業メンバーでもない限りいちエンジニアがもらえるストックオプションはたかが知れている、ほとんどが0という状況でないかなと思います。客先常駐しているエンジニアの貢献度は毎月のマージンくらいなので評価対象にはなりづらいのが現状です。
ストックオプションや持ち株など上場で得られる利益より還元率を上げたほうがほとんどのエンジニアが得をするということでエンジニアへの収入面でいえば上場メリットは薄いでしょう。
高還元SESの成長限界とAI時代の不安要素
高還元SESは「IT企業」を名乗るケースが多いものの、実態は派遣と変わらないことも少なくないです。特に案件選択性を掲げる高還元SESは特にその傾向が強いように感じます。
仮に成長を続けるとすれば、既存のSES企業から案件を奪っていくことになります。しかし、派遣先企業がこれまでの取引先よりも高い単価を支払うケースは稀で、実際には同額か、むしろ低い単価での受注がほとんどでしょう。
また高還元SESは「単価連動」を採用しているため、経営上の利益は一般的なSESよりも低い傾向にあります。つまり、利益率の高い企業が、利益率の低い企業に置き換わるだけです。投資家にとっては、この点で大きな魅力を感じにくいのは間違いありません。
さらに近年はAIの急速な進化が進んでおり、コーディング業務の多くがAIに代替される未来はそう遠くないとされています。SESの多くは3次・4次請けで下流工程を担ってきましたが、AIによってこの需要が急激に減少すれば、「人の数」で売上を作ってきたビジネスモデルは大きな打撃を受けます。
この構造的なリスクを解決できない限り、高還元SESは投資先としてどうしても不安が残る存在といえるでしょう。
まとめ:高還元SESは「上場向きのビジネスモデルではない」
・単価連動のため粗利率が増えない。エンジニアの還元率を上げると利益が下がるため株主との対立構造になる
・売上を増やす=社員を増やす → 採用コスト増。人が増えるほど離職も増えるため採用単価も増加傾向が予想される
・高還元でエンジニアへアピールしていたことが上場すると逆に投資家にとってはマイナス面となり足を引っ張る
上場するならSES以外の事業が不可欠
SES事業だけだと利益率は低く発展性も薄いです。もし上場を考えているなら自社サービスなど別の事業の柱があることが望ましいです。
IT系自社サービスは利益率が高め
全く別の分野でリスク分散するという手もありますが、SES以外の事業展開の正攻法でいえばSaas等の自社サービスでしょう。
課金はサブスク型で軌道にのれば安定して利益があげられます。投資先としても魅力も上がり従業員も持ち株によるメリットを享受できるでしょう。
ただサービスを提供しているだけでなくしっかり儲けが出ていることが大事です。現在はあらかたIT化されていてほとんどがレッドオーシャンに飛び込むことになります。ターゲットを絞る、価格で勝負するなど市場で勝てるだけの特徴があるかが重要です。よっぽど勝ち筋がないとSES事業の利益を食いつぶすだけのお荷物になります。
コンコルド効果って知っていますか?
かけた費用を惜しんで事業をやめられない状態にあることです。売上がずっと悪いのに開発を縮小せずにずるずる続けてしまうことも少なくありません。これが続くとそれこそ還元率を下げるような事態になることもありえます。
「自社開発もしている」だけではなくしっかり売上や成長性も見極めて判断することが大事です。
儲けられる自社サービスを展開できるならそもそも高還元SESに手は出さなくていいということを肝に銘じておきましょう。
「SaaS is Dead」と言われる背景には、生成AIの急速な普及があります。
従来なら月額課金で利用していたツールの多くが、AIによって代替可能になりつつあるのです。ドキュメント作成、コード補助、画像生成など、AIが自動で提供する機能はSaaSの価値を侵食しています。
もちろんSaaSがすべて消えるわけではありません。しかし今後生き残れるのは、AIを組み込み継続的に進化できるサービスや、業界特化型でAIでは簡単に置き換えられない領域に限られるでしょう。
汎用的なSaaSは淘汰され、AIを活用できないサービスは急速に存在感を失っていくはずです。
分社化の可能性も
Saasなど自社サービスが高還元SES以上に儲けるとSES事業を切り離し子会社化の可能性がでてきます。待遇がどうなるかは制度設計次第ですが少なくともSaasの利益は享受できなくなります。
開発費は高還元SESの売上で支えてきましたが、いざ利益の見込みがでてきてその恩恵を受けられるといった矢先に分社化されるとコストだけ負担したことになります。残念。
上場の基準が上がった
2025年4月に上場維持基準の見直しが行われ、グロース市場では上場後5年以内に時価総額が100億円に達成することが求められることになりました。
平均単価が60万の高還元SESであれば上場前に社員数1000人、売上で72億が上場可能かの一つのボーダーかなと思います。そして上場後は5年以内に社員数1500人を目指すことになります。
※ここでの時価総額は売上高×0.9で求めています。
高還元SESの社員数推移をみると順調なところで創立から10年で社員数500人といったところみたいです。波に乗ってくれば毎年毎年社員数の増加数は伸び続けていきますがそれでも上場の道のりは険しいことがわかると思います。
社員数と売上、そしてそれらの推移を見てあと何年で上場維持基準に到達するかがおおよそわかります。口だけなのか本当に上場できるか一度見通しを立ててみましょう。
まとめ
上場は社会的信用や資金調達といった将来性を開く一方で、その維持にかかるコストや株主への配分によって「エンジニアへの高還元」という本質的な強みを削ぐリスクが大きいです。
とりわけ、上場するために還元率を下げることは本末転倒であり、エンジニアの信頼を損なう結果につながりかねません。
とくに、上場で得られる金銭的メリットよりも、還元率を上げてエンジニアに直接収入として返すほうが、収入面で圧倒的に有利です。
エンジニアのための会社であるなら、上場を選ぶよりも高還元を維持することこそが最も価値ある道。
結果として、上場しないことが「働きやすさ」と「収入の最大化」を守り続ける選択肢になるといえます。
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