案件が決まったら入社ってどうなの?【あんきま】

派遣・SES業界には「あんきま」というものがあります。入社に関する重要な項目で、ほかの業界にはない独特な考え方です。これから高還元SESに転職を考える人は収入にも影響が出るので、ぜひどういったものか理解して欲しいと思います。

「あんきま」ってなに?

「あんきま」とは「案件が決まったら入社」の略です。派遣、SESは客先に出向いてお金を稼ぎます。仕事をしていない間は売上が0になります。

案件が決まるまで大体2週間~1か月、遅ければ2か月程度かかります。案件が決まるまでの間にも給与は支払われるため入社してから案件を探すとなると会社にしてみればそれなりの損失が発生します。

特に高還元SESでは利益が少ないためこのコストの負担は馬鹿になりません。そこで取り入れているのが「案件が決まったら入社」となります。入社前に案件を決めてしまって入社と同時に案件に参画させることでこの損失をなくそうということです。

「あんきま」「非あんきま」のメリット・デメリット

「あんきま」

案件が決まってから入社

メリット
・入社を辞退できる

デメリット
・無給期間が発生する可能性がある

「非あんきま」

入社してから案件を決める

メリット
・入社~案件参画の待機期間にも給与が出る

デメリット
・希望しない案件につく可能性がある

「あんきま」と「非あんきま」の一番の違いは入社が確定することです。

「非あんきま」は入社が確定しているのでたとえ案件に参画していなくても給与の支払いが発生します。「あんきま」と違い案件が決まらず収入がなくなるといった不安を抱えることがありません。

一方で「非あんきま」の場合は案件情報に触れるのは入社後となります。「希望の案件がない」、「単価が低い」など、入社前に聞いていた内容と違うということもありえなくはないです。入社が確定していることで会社指示に従う必要がでてきます。案件選択といっても「この案件に行くように」と指示があれば行かざるを得ません。しかも単価連動なので会社指示で単価の低い案件につくことになれば給与も低くなるということです。収入が約束される一方で案件情報が不確定というリスクを負うことになります。

「あんきま」の場合は案件が決まってから雇用契約を交わすので、希望の案件がなかったり、案件を探している間に別の会社から内定もらってそちらに行きたいとなり入社辞退となっても会社は拒否できません。待機リスクがある一方で自分自身に意思決定権があるというのが特徴です。

高還元SESではどっちがいい?

どっちでもいいです。個人の状況と就職先に何を求めるかで決めればいいと思います。

納得感の「あんきま」

プライム案件多数と言いつつ実際はパートナ企業から紹介される案件だったということが起こりえるのがSES業界です。SES企業の中には自社で営業せずパートナー企業に案件を紹介してもらうところがあります。「非あんきま」だと入社後に案件を探すのでそのとき初めて自分にどんな案件を持ってくるか、単価がどのくらいかというのが判明します。

これが「あんきま」であれば、実際の案件を見て納得いくものがなければ入社を辞退できます。会社側にしてみても入社してもらわないと営業も無駄になるので努力は惜しまないはずです。「入るかもわからない人に一生懸命になってもなー」という営業もいるかもしれません。でもあなたは入社辞退できる権利を持っています。そういう営業にあたったら辞退できます。決定権は自分自身にあります。100%納得とまでいかなくてもそれなりの納得感をもって入社になるのではないでしょうか?

個人的に1点だけ「あんきま」に求める条件があります。それは還元率が高いということです。
「あんきま」の代わりに還元率が高く設定されていれば、たとえ入社前に無給期間が発生してもこれからの働きで十分無給期間の収入減をカバーできます。リスクをとる代わりに収入の高さを希望する形です。

「あんきま」「非あんきま」での収入例

還元率65%で「非あんきま」での年収
 単価60万×0.65×12か月=年収468万

還元率68%で「あんきま」での年収
 案件が決まるまで1か月かかった場合
 単価60万×0.68×11か月=年収448.8万
 単価60万×0.68×12か月=年収489.6万(2年目以降)

「あんきま」の企業は1年目こそ収入が「非あんきま」に比べ20万円年収が低くなりますが、2年目以降は20万円上回り1年目の待機の収入減は帳消しです。以降は「非あんきま」に比べ毎年+20万多く収入が得られます。

仕事の内容と単価額に納得感を得る、リスクをとる代わりに高収入を狙う人に向いているかなと思います。

安心感の「非あんきま」

通常転職は入社日を決めてから退職手続きをとることが多いと思います。「あんきま」の場合は退職日を決めてからとなります。入社予定日の1か月程度前から案件を紹介していく運びになります。この期間に案件が決まらなければ無職となります。

家庭を持っていたりするとこれはかなり不安な状況です。そこで「非あんきま」の高還元SESです。通常の転職と同じように入社日がきまってから退職の運びとなり、仮に入社後待機になっても給与はでるので退職まで安心して日々を過ごすことができます。

個人的には安定を求めて単価連動に行くのはやめたほうがいいのではと思っています。あるかわからない、あっても1カ月程度の待機のために案件の確認を放棄するというのは結構なリスクです。これから数年働く企業がどんな案件を持っているかというのは単価連動では非常に重要です。このリスクを考えたうえで「非あんきま」を選ぶべきだと思います。

「隠れあんきま」に注意!

「非あんきま」の中には実は「隠れあんきま」が存在します。入社後案件探している間の給与でます、とする一方実はエンジニアが負担になっているのでは?という仕組みの高還元SESがあります。

案件が決まるまでの間の待機費用がどこからでているかというのを事前にしっかり確認しましょう。

賞与を減らす

「隠れあんきま」の代表格が賞与で減らすタイプです。

高還元SESには還元率の一部を賞与用として分けている企業が存在します。還元率65%であれば月給を単価の55%支給して、残り10%を賞与としてためておきます。待機になったとき賞与を減らすことで会社が損しないようにしているわけです。

入社後の案件を探す間の給与もこの賞与から捻出していて、実のところ金銭的には「あんきま」と同じになる。得られるのは入社前の一時の安心感だけっというのが賞与で減らすタイプの隠れあんきま企業です。

給与保証が全く意味をなしていないので「非あんきま」であってもこのタイプの高還元SESには入社はおすすめしません。待機時月給100%保証など正社員なら当たり前のことをわざわざアピールしている企業は要注意。

還元率が低い

還元率が低ければ高いところより収入が低くなる傾向にあります。勤める期間が長いほど収入差が開きます。「非あんきま」を実現するために還元率が低くなっていると「非あんきま」のメリットである収入が減らないというのはほんの一瞬の期間だけのはなしです。「非あんきま」であっても還元率は他社に負けないところ選びましょう。

入社前に案件を探すところもある

「非あんきま」であっても案件は入社前に探すところもあります。入社後待機であっても給与は出すが案件探すのは入社前からする。いやだったら断ってもいいですが「賞与で減らすタイプの非あんきま企業」であれば結局のところ損するのはエンジニアになります。いやいや入社前に面談を受けに行くことになります。

まとめ

「あんきま」は求職者からするとかなりイメージは悪いし、会社は待機費用を負担しない代わりに入社辞退のリスクを負う。入社辞退となれば営業も無駄になる。経営者の立場からするとわざわざやるメリットはそれほどありません。とりあえず入社させるほうがずっと楽です。

「非あんきま」は入社が確定されます。単価連動なので給与が単価を上回ることはありません。入社さえさせれば回収はかなり容易です。待機費用を賞与から減らすような仕組みであればリスクはありません。入社しちゃえば会社は労働者に対して絶対的な権利を持ちます。いざとなったら会社指示で案件に参画させることも可能でそれほどデメリットはないと個人的には思っています。

高還元SESで案件を実際に見る前に入社するって結構なリスクです。自社開発のようにやることが明確で給与も明確に決まっているなら入社後もめることはないでしょうが、高還元SESでは事情が違ってきます。案件の中身(仕事の内容、単価)がわからないうちに入社して、いざ入社したら希望した案件につけない、希望の単価に届かないなんてこともありえるわけです。

「あんきま」では入社前に案件情報を知ることができます。今後数年は働く環境を確認できるという意味では「あんきま」って案件選択・単価連動の高還元SESでは理にかなっていると思います。
一見「非あんきま」のほうが給与でるからいいように見えますが、高還元SESでは実のところ「あんきま」も求職者有利の制度だと思います。長期的な視点でどちらにするかを考えて決めるといいでしょう。

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